時代の流れとともに、遺品整理や実家の継承に関する考え方や方法が大きく変わりつつあります。かつては家族によって行われていた遺品整理が、現在では専門業者に依頼されることが一般的となり、また実家の継承に関しても、新たな視点や手法が取り入れられるようになっています。ここでは、その変化の背景と現状について考察します。
遺品整理の変化
かつて、遺品整理は家族や親族が集まり、故人の思い出を共有しながら行うものでした。しかし、近年では遺品整理業という専門業者に依頼するケースが増えてきています。これは、都市化や核家族化が進む中で、家族間の物理的距離が広がり、故人の遺品を整理する時間や労力が不足しているためです。
遺品整理業とは、遺品という死者の所有物であったものを処理することを専門とする業種である。元来、遺品の処理というのは、形見分けといわれるような個人の死後の「後片付け」の一つであり、家族を主体として世俗的に行われていた。しかし、現在ではその遺品の処理に関して遺品整理業という専門業種に役割が取って代わる状況があり、これは「市場」に後片付けがまかされていくことを意味する。
藤井亮佑. 遺品整理業のエスノグラフィー (1): 宝塚市と西宮市の事例から. 関西学院大学社会学部紀要, 2018, 129: 51-61.
専門業者への依頼のメリット
専門業者に依頼することで、遺品整理が効率的かつ迅速に行われるようになります。業者は経験と知識を持っているため、適切な処理方法を提案し、遺品を整理する際の心理的な負担を軽減してくれます。また、貴重品の捜索や廃棄物の適正処理も行ってくれるため、遺族にとって大きな助けとなります。
実家の継承とその課題
実家の継承に関しても、従来の「家を守る」という意識から、経済的な合理性を重視する方向へとシフトしています。特に、空き家の問題が深刻化している現在、多くの家庭で実家の維持費や固定資産税が負担となっています。
固定資産税や維持費などで毎年損を重ねてしまと、完全に負債です。
思い出は大事ですが、思い出は写真で十分。思い出が「重いで」にかわるまえに、見積もりをだしてみましょう。
家族を説得するのは、そのあとでも十分。じっさいにどれくらいの価値があって、こんご毎年どれくらいの負担がかかるのか？
見積もりをだし、それを目の前で紙に書いて（言葉でいうより資料が目の前にあると説得しやすい）、国会の答弁みたいですが、聞いてみましょう。
その財源はどこからだすのか？
それだけで案外動くみたいですよ。
子供たちが汗水たらして働いて稼いだお金をムダにはしたくないというのは、当然の親心です。
ただ人間は実際どれくらいかかるのかは、すごく甘めに見積もってしまいがちなので、きっちりと見積もりを目の前に提示することが大事なのです。
継承の新しい視点
実家を継承する際には、単に思い出を守るだけでなく、経済的な視点からの判断も重要です。実家の維持が難しい場合、売却や賃貸といった選択肢を検討することが必要です。また、親族間での話し合いを通じて、現実的な対応策を見つけることが大切です。家族全員が納得できる形で実家の処理を進めることで、心理的な負担も軽減されます。
結論
時代の変化とともに、遺品整理や実家の継承に対する考え方も変わってきています。専門業者の利用や経済的な視点を取り入れることで、効率的かつ合理的な方法を選択することができます。家族全員が納得できる形での遺品整理と実家の継承を進めるためには、情報収集とコミュニケーションが鍵となります。
